前日 | 月別 | 翌日

20000727


London -> Oxford



 朝、竹川君に電話。天気がいいから今日会おうということになる。オックスフォード・チューブ(といってもバス)でオックスフォードへ。2時間ほどだが、延々と続く牧草地に「旅」感覚はいや増す。
 竹川君一家とバス停で待ち合わせ。会うのは数年ぶり。日本で会わないのにこんなところで会うなんてね。そばの骨董市を冷やかし、一枚10ペンスの絵葉書を20枚ほど買う。
 竹川君の案内で町を一回り。この町最大の本屋、ブラックウェルの生物学や動物行動学のコーナーを見ると、時代が時代とはいえ、ウィルソン、ドーキンス、グールド、ベイカー、リドリーといった面々の本が並び、ローレンツもティンバーゲンも一冊もなし。「本能の研究」の英語版くらいあるかと思ったんだがな。社会心理学のコーナーでNonverbal behaviour関係の本など数冊。

 大学博物館の柱は、鉄の植物。そして鉄道駅のような採光。もうこれ以上手をつけない方がいいくらいに飽和した展示物。

 河原町を見たので今度は鴨川にでも出ますか、と、ここでの行動を京都に例える竹川君に従って運河を渡り、小路を抜けると広々とした牧草地で、その向こうにある小川がテムズ川だという。遠い牛たちと雲の配置から明らかになっていく世界の奥行き。奇妙なループに入ったような感覚。これは、もしかしてルイス・キャロルがアリス・リデルに話をした川辺?
 エンクロージャーに沿っていくといくつか鉄門をくぐる。公園のようだが実はよそ様の土地なのだとわかる。一般人が通れる小道は限られていて、道をはずれると怒られるらしい。「エンクロージャーが散歩を作った」説というのをでっち上げる。すなわち、まっすぐ目的地に行けないという現実を、まっすぐ目的地に行かないという目的として捉えなおしたとき、散歩が生まれたのである。そういう他愛もない話をするうちにも小道は曲がりくねり、イラクサとイバラの脇を抜け、また鉄門をくぐると、そこは居酒屋で、まずはビールを1パイント。短冊をぶらさげたようなごつい枝葉ぶりの柳の下でぼんやりする。

 夜は葵さんと玄之介くんと遊ぶ。この年の子たちは、なんといってもぐるぐる回しとか高い高いなどめまい系の遊びが好きなのだが、葵さんは街の中に街があるよ、などと形而上的なことを突然言い出す。

前日 | 月別 | 翌日

Beach diary